ひとひらの優しさ

私が苦しみを痛みに変換した傷口を、
ごめんねと何回もかぼそい声で云いながら拭うものですから、
あなたがわたしを苦しめるのと加害者を見つめながら弁明することが出来なかった。

こんなやさしさをくれるくらいなら、最初から苦しませないでよと、
あなたを罪悪感で窒息させるようなことをなじりたかったのに、それができなかった。

ただ赤く染まった濡れタオルだけが、嫌というほど真実を詰め込んでいた。

投稿者

静岡県

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