つぎはぎ
波打ち際をふたりで歩く
長いあいだ
こうやって歩いている気がする
君の顔は
見る角度によって全然違うね
ふとあなたは呟く
どの角度が好き?と聞いたら
全部好きと言ってくれるだろう
どこから見てもわたし
あたり前のことだ
それなのに
きゅうに
どうしてか心細くなって
手を繋ごうとするのだけど
わたしの手は
沖の方へと流されていく
砂浜には
いろいろなものが打ち捨てられている
かつては誰かのものだった
菜箸やおたま
赤ちゃんのおしゃぶり
書きかけの詩
エンゲージリング
つけられた名前
手は
落ちていないだろうか
繋ぎたくて仕方ないのに
コメント
手が流されて行った沖の方には何があるんだろう?足のつかない海の水面下から私に絡みついた手と照合させるようにこの詩の世界を味わってみました。砂浜は過去にしかないのだろうか。