トラップ25

時間は平等だと
誰かが言った
お前は本当にそう思うのか?

気づいた時には
もう嵌ってた
誰が仕掛けたのかも
わからないまま
足首に絡んだ
鎖の重さだけが
やけにリアルだった

愛も仕事も
見張りと欺きで包まれ
眠れぬ夜に
鍵がかかるのは
ドアじゃなく
俺の心の方だった

疑念が
部屋の隅に立っている
電波は嘘を運び
俺の指を舐める
猫の目だけが
真実を知っていた

詩を書けば消され
怒れば狂人扱い
黙れば都合よく解釈される
これが罠でなくてなんだ?

笑顔の下に毒を塗った奴が
平然と正義を語る
この世界で
俺は
魂だけは
売らずに生きてきた

たった一行でも
真実を書けば
誰かの嘘に火がつく
だからこそ
罠の中でも
書き続けた

これは
脱出マニュアルじゃない
宣戦布告でもない
俺が罠の中で
見つけた
唯一の自由の形

言葉だ
俺の詩だ
俺そのものだ

どうしようもない
時間との
求愛の行為だ

投稿者

東京都

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