天の川
7月、長雨の夜
街灯が照らした結葉の影が
半径60cmの半透明な世界を横切る
顔を上げると
街灯の光に照らされた雨粒が
星のように散らばっていた
その欠片は一つ一つ鮮明で
その場で輝いているものも
流れてゆくものもいた
私はこの小さな世界に
いつかの夜空を浮かべる
まだ星の名も知らないころ
時計の針がやけにゆっくりだったころ
私たちは寝そべって
小さな手を繋ぎあった
そうして眺めていた
いつまでも
いつまでも
川底に寝そべる魚のように
揺らめく水面を
いつまでも眺めていた
雨音は止み
風は静かに凪いでいた
傘をたたみ空を見上げる
雲は少し薄くなり
雨の気配が去ってゆく
祭りのあとのような静けさの中
雲の上に広がる景色を
あの天の川を
私は想像する
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