お化け
自分は幼い頃母親が化粧をするのを嫌う少年であったことを思い出したがそれは日常とは違う他所行きな姿に本心が見えなくなるような怖さを感じていたからであり大人になって今目の前にいる女はかくも見事に女であることにはむしろ安心感しかなくそれがたとえ狐だろうと狸だろうと一向に構いやしないと
(中略)
それまでの会話の声色からはついぞ想像もつかぬような声枯れの咆哮が聞こえ、それはいつしか断続的な意識の点滅を経て、事切れたような静寂が訪れたかと思うとまた蘇生する、というのを二、三度繰り返した果てに、互いが漏らす擬音のようなものの交換だけが空間を震わせ絡み合う時間を支配しておると
(後略)
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コメント
良いですね、斬新ですね。
私の大好物の分野なので興味深く読ませていただきました。
語り口が(というか語らない部分が)とても良いですね。
かっこいい!
あらゆる想像を生みます。
手法もいいですね。
この詩の、言葉の選び方と言葉の連なりが、おもしろく構成されていますね。
あえて 略 としてるところも、この詩に広がりを持たせていると思います。
タイトルもいい。タイトルが、内容と呼応しています。
@たかぼ
さん、コメントありがとうございますございます。
内容は大体できていて、それを一文詩で色んなスタイルでやってみたいと思っていたところ、今朝早朝に目覚めたら急にこの形で完成しました。
@nonya
さん、コメントありがとうございます。
何歳になってこんな詩投稿してんだよと思う自分と、何歳だからこそこうなんだよと思う自分がいます。
nonyaさん見習って私も切ないやつも書いてみたいなー。
@たちばなまこと
さん、コメントありがとうございます。
手法は突然やって来ました。略してなかったらどんな長い一文詩だったんだだろうかと思わせるハッタリ構造です!それは読んでられないだろうから略してみました的な。そういうのを含めて想像してもらえたら何か嬉しいですねー。
@こしごえ
さん、コメントありがとうございます。
略スタイルもそうですし、タイトルを「化け物」ではなく「お化け」とすることで名詞なのか動詞なのかどちらも取れるようにしてみたところは、今朝早朝のご褒美のようなひらめきでした。
似たようなこと考えたことあるけど、ここまでばっさり略する勇気はなかったなー。そこに読者に想像と創造を委ねちゃえる作者としての万能感を見ました。
この構成力、盗みたいです。
あと、エロいの好きです。
@トノモトショウ
さん、コメントありがとうございます。
委ねますよー、基本的に私には伝えたいことなんてもうそんなになくて、読む人の「伝えられたさ」みたいなものの方に興味あるんですよね。そう思ってもらえる詩が書けたら嬉しいな。
@あまね
さん、コメントありがとうございます。
ぜひぜひ盗んで盗んでー(^^)
つか、(略)ってあえて書くかどうかは別として、詩って割と実は知らぬ間に(略)してるようなスタイルだと思うところもありますね。
こんな歳なのに(だからこそ?)エロいのばかり書きたくなっちゃうの、病気かとちょっと悩んでます…
怪談、日本昔ばなしのようでした。中略が長くて長くて、狐か狸に連れて行かれた男、エロエロ、後略は、食べられてしまったのか。少年は大人になった。騙されたい。面白かったです。
@花巻まりか
さん、コメントありがとうございます。
どうやら私は何かに(亀とか狐とか狸とか)に連れて行かれやすいタイプなんでしょうね。「女は二度化ける」みたいなタイトルもよぎりましたが、お化けなさいという意味も込めて「お化け」になりました。面白がってくれて嬉しいです。