
僕のお父さん
僕のお父さんとお母さんは愛し合っていた
だから僕が生まれた
父さんとお母さんの愛が崩れた時、生まれたものは何もなかった
僕のお父さんはどこにいるのだろう
左耳は枕に押し付けた、片耳に侵入する罵声
母は疲れている父さんに文句を言った
父は母さんに言い訳をして文句を言った
眠れない夜の子守唄
日に日に喧嘩は少なくなっていった
僕のお父さんはどこにいるのだろう
お父さんのスーツが消えた
「あの人は私たちを捨てたの」という母さん
僕にはわからなかった
離婚しようと切り出したのはお父さんか母さんか
それはお父さんに聞いても分からないかもしれない
すでに僕のお父さんではないから
おばさんの家に行った時に「お父さん似の顔ね」と言われた
授業参観で誰かのお父さんを少し羨ましく思った
僕たちはお父さんとお母さんの血を引いていると教えてもらった
僕の血管も半分はお父さんの血が入っている
僕のお父さんはどこにいるのだろう
お母さんの疲れた顔を見ながら、今日もまたそんなことを思った
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