バルサンを焚く

よる
バルサンを焚く
6畳の私の部屋
けむりをもくもくさせ
扉を閉める

私はぽっかりしている

夏の京都の空気
川沿いを歩く 
ねっとりした闇を
泳ぐように

給料出ない 
バイト先の漫画喫茶
地元ならとっくに潰れている味の
ラーメン屋
おしゃれすぎるカフェ
一度寝ただけの先輩のアパート
部屋の明かり
横目で確認する

私はぽっかりしている

駅の近くのTSUTAYA
なんとなく視聴する
なにかやっているふり
コンビニで思い出す
あの時買ってたアイス
必ず誰かがいて
店番してるバイト先
給料出ないけど
バガボンドの新刊読めるし
イントネーション優しい
ありがとう
行きも帰りもない道
先輩のマンションの前を通って
確認する
ラーメン屋バイト先給料出たら行きたいカフェ
通り過ぎる
知らないひとたち
夜なのに誰かが起きててくれる
また呼んでよね

一人暮らしの部屋
窓開けて
窓閉めて
四時間前のぽっかりを不思議に思う
寝よう

投稿者

東京都

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