青森の林檎
空がお前の顔に見えて
居心地が悪くなって
螺旋階段を走って
地面に降りた
停めてあった車で
首都高に入り
青森まで逃げた
林檎の樹のいじらしさは
聖書で書かれてる様な
毒毒しさは無く
昼寝のニュートンに
引力を教えたとかじゃ無く
あんがいちっちゃかったんだよ
木も実も神話も
コンビニの袋に詰めて
車の後部座席に積んだら
甘い匂いが
静かにナビを狂わせた
まっすぐ進んでください
って声が やけに優しくて
泣きそうになった
お前に渡すはずだった林檎
腐らせたまま
東京に戻っている
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