静かな山
その日、近所の児童公園に
一人でやって来たその子は
砂場の隅っこでしゃがむと
無心に山をつくりはじめる
子ども連れの大人が気付き
見知らぬ子だから そっと
言葉を掛けてみるけれども
その子の耳に挨拶は届かず
暫く背中を見おろしていた
やがて立ち上がるその子は
山だけを其処に置いたまま
フラリと公園を出て行った
いく日かしてまた、現れた
その子は公園のざわめきに
フイっと背を向けて砂場で
山を、つくりはじめるのだ
たまたま いつかの子だと
気付いた大人が歩み寄って
今度は山を見ることにした
そして一言声を掛けてみる
すると大人を見上げないで
山を見る、その子の右手は
握った砂を山の左側へ加え
撫で付けて何度も押さえる
山の形の曲線は一層美しく
ふと真昼の森の木漏れ日や
逞しい生きものたちの鼓動
が、しづかに伝わってくる
その子のなかで、創られる
意志の山の様なものを感じ
大人の眼は見つめていた。
コメント
黙々と山をつくる子の見えそうで見えない深いこころを思いました。
清々しい意志を感じ、見習って何を言われても、初志貫徹したいなと思いました(^^)
その子は、他人の評価などは気にせず、ただ山を作りたかったんだろうなあと、作り終わったあとの満足気な表情を思い浮かべました。
そして読んでいて、大人達の見守るやさしい眼差しも感じました。
@腰国改修/降墨睨白島
様
おはようございます。お読みいただきまして、ご感想のお言葉を
お寄せくださり嬉しいです。どうもありがとうございました。
@ayami
さま♪
おはようございます。読んでいただけて、ご感想のコメントもくださり、
どうもありがとうございます。
この詩は、昔……(かなり昔ですぅ)大阪文学学校の通信制に在籍しました
当時の自分と、クラス担当でご指導くださった先生との関係を振り返って
書いてみた作品なのです。^^ 2年程前の過去作を改訂しました。
@リリー
さま、そうだったのですね。大阪文学学校、素敵です⭐︎ 先生のもとで、仲間と学べるっていいですね。