錆びた塔
町を歩いていた
足の裏から
砂粒が俺に語りかけた
100年経っても
倒れそうもない
タワーマンションを見上げて
100年後を想った
自分は今ここにいるが
どうしてこの道を歩いているのか
わからない
100年後には間違いなく
自分は死んでいる
工事現場の横を
トラックが走り抜け
砂塵が舞い上がっていた
10年前の景色を
思い出そうとして
考えるのをやめた
100年後もこの樹木は
人々に日陰を
与えているのだろうか?
空からの恵みは
人体に影響の無い水を
皆んなに
タダでくれるのだろうか?
やめよう
考えるのは
靴の中の小石が
語りかけた
俺はかつて誰かの涙だった
今日も
知らない人が死んで
今日も
知らない人が生まれる
風を震わせる声が
どこからか聞こえる
枯れた井戸の水
それを求めた人間の
愚かさが
タワーマンションなんて
建てたのだろうか
やめよう
考えるのは
それは自分には関係ない事だ
うっかりしていると
スタンドが発令してしまう
左手が疼く
何か出てきそうだ
廃墟に立つ塔
埋まってる自由の女神
ブラウンシュガー
忘れてた
俺はセイウチもどきだった
やって来たバスに乗り込む
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