送り火

忘れていませんか
と自分に問う私を
失われた記憶の空は
いつまでも青く
青く広がっている

絶対的に 失われた存在は
二度とここに戻って来ない
これでいいんだ
と自分に言い聞かせる私を
歩いてゆくもう一人の私

この夏は
入道雲が
独り言
を言っていた
遠く果てしない

氷を入れた麦茶を二口のんで
宙を
みつめる
けれど
夏は待ってはくれない。
かなかなは死に、
こおろぎが歌うようになり、
夏の葬列の先に秋
明らかな羊雲
誰もがほんとは
忘れ去ってなんかはいない
忘れたフリをして
いずれどの道
冬の来る
季節は進む
私のいのちは現在
ここに在る愛

投稿者

コメント

  1. うん、今の時期って葬列なんですよね。共感しきりです。

  2. こしごえさんの詩は夏が似合います。

  3. @あまね さん ありがとうございます♪
    共感してもらって、ありがたく貴重に思います。^^
    そう、基本的に、夏までは 生きものは元気なんだけど、これから秋や冬になるに掛けて、生きものは死んでゆきますもんね。
    そういう意味でも、この時期は、さびしさが漂うのかもしれませんね。うん。

  4. @花巻まりか さん ありがとうございます♪
    おお、そうですか。
    そう言ってもらえて、なんだか嬉しいです。^^
    季節感を出す詩は、その季節限定になるような感じがしますので、ほんとは得意では無いのですけどね。ふふ。

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