再会
18年ぶりに再会したキミと
通勤中のバスに揺られていた
キミはバレー部のキャプテンで
勉強ができる方ではなくて
窓の向こう
見飽きた街並みが流れていく
短い夏が終わると冬が来て
私がいない間も
季節だけが変わらずに巡っていったんだろう
そうしてまたここに戻ってきてしまった
—あぁ俺は色々あってバツイチなの
息子が一人いて月一会ってるんだけど
元嫁再婚するみたいで
そしたら息子に会えなくなるのかなーって
—私は数年前に病気して—片耳が聴こえなくなっちゃった
人にはそれぞれの折り返し地点があって
そこに到達すると
あとは一つ一つ手放していくだけなのかもしれない
バスの横を
昔のキミのような
高校生活をすべて部活に捧げるような
男の子が
自転車で颯爽と過ぎる
昔から自信家のキミが好きだよ
自信じゃなくて見栄なんだけどね
がんばって
返す地点はまだ先で
それが早いのか
遅いのか
——眩しい
キミは視線を落として資格試験の勉強を始めた
—男の子は大変だね
全然、とキミは言う
バスは進んで
停まって
拾って降ろしてまた拾って
またな
と私の頭を撫でる手があの頃みたいだったから
よかったって思ってた
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