ゴジラ
月に向けて啼くはゴジラ
開かれる事の無い日記には
ゴジラの母等、その名は、
勝子、梅子、園美、幸子、イチゴ、
それらの夫、伊藤について綴ってある
ただそれだけの心臓ダイアリー
ただそれだけなのにそれは
青い海のファンタジー、鼓動、孤独
ハート哀しくゴジラの爪が
母等の心を鷲掴みにしている、ああ
それだけなのに母等は半日の家出をした
夫、伊藤はそれだけでオロオロ吠え
一等子息ゴジラに
オキシジェンデストロイヤーを投下指令す
パンパカパーンパンパパパンパカーン
ゴジラは破壊されるでも再生する
空が焼けている何焼けだろうか
ミナレテル イナカノソラニ レインボウ
タマシヒナミダ エモキユフグレ
知られる事が無ければ日記は
唯の秘められた記録であるだけだったのに
オキシジェンデストロイヤーにより
破壊されまた何気に再生されたゴジラは
どんどん根性悪になって夫婦の日記を開示する
ゴジラの背びれが放射能ビリビリ青白で
危険を承知でその周囲を世界連盟の
舟に乗った戦争の語り部が
とってもシースルーな世界連盟の
旗を気違って振るビリビリになるまで
今は青白い海の底で眠っているゴジラよ
そしてその母等、勝子、梅子、園美、
幸子、梅子、イチゴ、それらの夫伊藤と
抱擁し口づけし合って
「帰りたい」と舟から絶叫する
でも過去はもう無いのだ
オキシジェンデストロイヤー
心の空洞がごうごうと泣くので
地球でもあるわたくしたち全てまでもが
哀しくなってごうごうと大声で泣く
オキシジェンデストロイヤーの空容器が
群青の海のおもてにプカプカ浮いて
東宝映画の丸いロゴが映画の画面から
少しずつ大きくせり出して来て
ゴジラの咆哮だけ聴こえて
ゴジラ死んだと思ったら
少年の長い休みの前にまた再生されゴジラ
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