水滴.ver2

雨が降っている
無数の雲で生まれた水滴が
地上で合わさる

雨が降っている
雲から大地まで
一滴の水滴は世界を表す

同一化した
無数の水滴が見る夢は
天から地までのパノラマとなる

異質化した
無数の水滴が見る夢は
現象と実存を秘めた異世界となる

水滴の内面に潜む
異なる個性は均一化される

同時に、一滴の映す世界は
多様性と個性を主張する

一滴の雨を私とする
無数の私が、地表を目指す

その瞬間に
私は、私たちとなる
私は私だけの唯一性を示す

それぞれの一滴は
全て、多様化した私であり
内的に独立している
   ・
私は、私らしく展開しよう

一滴の雨であると自覚した私は
落下する、私でない私たちを
必然的に異物と知る

その瞬間に
私は、私以外の存在を強く否定する
一滴の雨とは、私以外許されない
唯一無二の存在であることに
誇りを抱きたい
   
斯くして
目覚めた一滴の水滴である私は
全ての水滴を吸収し
この世界を、私に至らしめる

私は、存在である
多様性は否定されなければならない

私、以外の私たちを吸収し
全てを、私にしなければならない
これは個という実存の必然である
 
   ✳  

雨が降っている
空中に浮かぶ水滴は
巨大な一滴のみとなる

地上に辿り着き、破裂した

雨が降っている
存在から実存(在り方)まで
一滴の水滴は世界を表す

投稿者

大阪府

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