ねがい。

つぎのバスが到着するまで ただそれまでの将来だとか
夢や目標なんてどこにもないのに 今日より大事にされるのは嫌だよ
キミが敬語になった日から だれも迎えには来ないから
僕は理由を聞かなくちゃって 何年も同じ場所に立っていた

「人間はのうと心臓以外が 七年で新しく入れ替わる」 
むかし女の先生が言っていた こわい予感にふり向いたとき
百パーオレらに関係ないでしょ キミは隣の机で教科書をたてて
「ウチくるあさってテストだけど」と ふすうっと目の前で自動ドアは開いて

赤信号で止まって震えて 右へ左へ景色がながれて
キミとつないだ手のかわが あと数日で入れ替わること
「むぎ茶のおかわりまだあるから」 「卒業して同じところ行けたらさ」
ゲームのコントローラーが急に汗ばみ リセットするならここだって気がした

窓の外でははしる子どもが スピードの差で後ろに進む
そしてお忘れもののございませんよう その音声がもとの世界から聞こえてる
そこが過去でも七年後でも 俺は次の駅で降りるけれど
あの日まで友だちだったキミの 声は窓側がよかったと言ってる

着いた。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 読ませていただきました。
    一行の真ん中にスペースひとつぶん空けてあるのは、座席のような
    二人の距離感が物語っているのかな?と思いました。
    敬語の間柄になってしまうまでのあざやかな思い出・・・もしかしたら7年後一人で思い出しているのかも。

  2.  読んで頂きありがとうございます!
     お、そのような感じです! 座席や”並行する何か”をイメージしていました。
     また道のようでもある感じです(どうでもいいかもですが(笑))!
    「二人」の関係やその後を想像してもらえて嬉しかったです。どうもどうも。
     
     

  3. >ゲームのコントローラーが急に汗ばみ リセットするならここだって気がした

    ここ、秀逸ですね。
    密度の高い瞬間を切り取った、一行の重みと鮮やかさがある。

  4. @大覚アキラ
     本当ですか! 褒めていただけて嬉しいです(笑)
     場面を一気に切り替えるような感じを、表現したかったので、この一行はとくに意外性を大事にしてみました。
     めちゃ励みになりました! ありがとうございます。

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