どん底

「どん底」

軽々しくどん底を語る人がいる

そのどん底の底を
すべなく見上げるどん底も居るというのに

香水を纏ったどん底が
得意げに街を歩いてゆく

時には喫茶店の窓辺で
さも悲しげに紅茶をすすっている

窓の外

底の無いどん底が
悔し涙に暮れていた

語れない痛みに耐えながら

雨さえも避けてゆく街灯の陰で

投稿者

長野県

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