
海上の塔
画家の眼が正しいことは、彼の手で証明される
少しの自慢であれば、それも正しい
そして動物園の正しい歩き方について彼に聞こうではないか
弓のような手で動物たちの顔を描いているから
少しのブレもない完全な生態のスケッチであるものとして
彼のポケットに小鳥が隠れている
その脚は海岸線を描くようにしなやかにクルックする
そばだてた耳の形に信用された象の歩みである
キリンの希望する来世のトタン屋根へと香水瓶を投げ上げる
しもつけの胡桃の会へと絨毯のへりを押さえてつぶやく
このような絵筆の起請文に声を出して声域をととのえるのである
友達の画家たちも動物の顔がなつかしいのであろうと
ひたすらに絵筆に油をふくませて空中にふりまく
このような大きなキャンバスにこのようなカバが口を開ける
しかしともすれば動物の死は剥製への道であるから
わたしは画家のひとりとしてマイクを持って歌う
アシカのように世界を善と悪とに判別するのではなく
いましがたのパンダの哺乳瓶のように青空を手にする
生まれることが動物の生であり、死は人間の死であるから
剥製になったわたしが君を見て笑う
正しく生きて、正しく画家として動物たちに笑顔を見せていたのである
そしてフランス製の絵具で君の顔を描く
檻の中にいたとしても、自然の中にいるように
描く、それは本当さ。
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