祈りの声

丘の上のお堂に
捧げた祈りは
静寂の中に消え
 
里への道は
微睡む影に沈みゆき
 
落葉樹の葉が
夕日に透けて燃え立ち
散り落ちた道は
繰り返された祈りに
幾条もなぞられ
 
風のない静かな秋に
息を静めれば
シジュウカラの群れが
梢の間を呟きながら
祈りを運ぶように遠ざかる
 
遠くに子どもたちの歓声
 
ススキの穂が
銀色に照らされる野原
走りくる子どもたち
その弾ける歓声にほどかれて
祈りは変容して願いとなり
 
風を巻き上げ丘を登る声が
艶やかに響き渡る

投稿者

愛知県

コメント

  1. こんなふうに心に映る風景を詠めたらなあ・・と、憧れてしまいます。
    とても良かったです。

  2. @風太郎 さん、コメントありがとうございます。
    とても良かったといってもらえて嬉しいです^^

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