かけはし
きっと、会えると思っていたわけではない、と前置きをして
僕は翼の先をくちばしで整える
気流は翼が読めたとしても、
目的地までそれに乗る体力があるかで美しい鳥は決まる
きっと
君に会えると思っていたわけではない
僕はお父さんとお母さんの翼の中で眠っている間に あまりに広いものを夢に見てしまった
薄れていく友の血潮の温かさの中で泣いている間に あまりに遠いものを夢に見てしまった
上昇気流が翼を押し揚げるたびに頬をくすぐられて笑う
羽の一枚ずつに名前を付けて
それがひとつずつ全部僕の名前だなんて言わないだろう
イカロスは太陽に近付き過ぎたんだっけ
遠い遠い隣人の噂話の中で
まどろんでいる
翼に日差しが溜まってあたたかい
ねえ、僕は年老いた天使みたいに見えるのかな、何も救えなかったんだ
自分の心でさえも
僕はどうすれば
鳥であることをやめられるんだろう
小さな野鳥が
いもむしを叩き潰しながら
こうやってごはんを食べるといい
と胸を張って教えてくれるんだけど
僕はいもむしが
何処で捕まえられるかも分からないよ
それに
いもむしは食べない
ありがとう
未来に向けて手を差し伸べること
僕の中に巣食った悪夢は何度でも僕の中の君を蝕む
君が僕を
何度も繰り返し掌を見詰める
僕が君を
梯を知らなかったと気が付いたら
また一からやり直しになってしまうんだろうか?
それでも生きるしかないと
言って笑う君が大好きだったんだ
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