
夕焼け
「もしもしちょっとお尋ねしますがね」
振り向いた斜め下には一体のロボット
ロボットはU字型の手を差し上げた
「この夢のような空は何色ですか」
見上げた先は
オレンジもしくは朱色
一部はピンク。黄色もあるな。あそこは赤だ
あの辺りは橙。水色も残っている。そしてあちらは茜色
「つまりは何色なの」
複雑なのだ。夕焼けというのは
ロボットは頭の半分を黄金色に輝かせ
忙し気に目をしばたたいている
僕はカバンから辞書を取り出し
夕焼けの頁を読み上げた
ロボットは真っ黒な目で辞書の背表紙を見つめている
夕焼けを理解しようとしているのだ
一生懸命に
僕がばたんと辞書を閉じると
ロボットは物思いから覚めた
「なるほど。ありがとう。では、さようなら」
くるりと背を向けたロボット
僕の存在などすっかり忘れたように
熱心に空を仰いでいる
ロボットは今、忙しいのだ
アルミの心を
夕焼けの色に
染め上げることに
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