らせん
嗚呼、分からない
まるで分らない
赤道を通り越して
どこか遠くの
名も知らぬ国の言語を
聞いているようだ
嗚呼、居たたまれない
ひどく居たたまれない
地球を通り抜けて
はるか彼方の
起源が異なる生物の鳴き声を
耳にしているようだ
脊髄反射的会話
頼むから
思いついたことを
そのままに垂れ流さないで
その声の振動はやがて消えるが
心には降り積もるのだ
石のように固くならない内に
この場を離れないと
ずしりと重く圧し掛かり
椅子から転げ落ちるやもしれぬ
その音の余韻は最早僅かだが
耳の奥ではまだ震えているのだ
体の芯まで伝わって来ない内に
早く一人になって
新鮮な空気を取り込まなきゃ
卒倒するかもしれない
どうせなら
砂時計の銀色の粒のような
美しい言葉を降り積もらせて
静物画的忍耐
珈琲から立ち上る
白き螺旋を
ひたすらに眺めているよりない
渦を巻いては消え
ゆらぎ、解けてゆく
ひどく芸術的
真っ黒な液体から
限りなく薄い白絹が
何故に絶え間なく生じるのか
螺旋が途切れぬ前に
この現象についての
意見を述べてはくれないものか
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