ネクタイ

上手く化けた
本体はネクタイ、昔は首飾りとか
色や柄は変えれる
これでも生き物だ

ネクタイを締めた人は
すみやかに主導権を失う
弱点もある
ネクタイのままでは
いつまでネクタイ
やがて干からびてしまう

一度ネクタイを締めれば
ずっと精気を吸い続ける
生き物なので、姿は変えれる
その日の気分で
蝶ネクタイとか瞬時に変わる

会話も出来る
20カ国語を自由に話せる
元々は宇宙からやってきた
知識も文明も地球人を超える
それでもネクタイ

異種同類も見かける
ベルト
彼らも古くから、この星にいる
一度ベルトを締めると
その人間は終生、支配される

風呂やプールでも外せない
外されると
瞬く間にネクタイやベルトに戻る
それでは困る
着けたままで入っている

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地球人は愚かである
何度も、絶滅の危機を救ってきた
独裁者を孤立させる
革命を指導する
画期的な新薬を開発する
品種改良をして飢餓から救う
彼ら彼女らがいなくなれば
我々も干物になってしまう

奥の手もある
全身を覆い、一時的に超人にする
赤いマントや黒尽くめの衣装
宙を飛び、弾丸を弾き返す

残念なことに、繁殖が出来ない
長いが、命は限られ数は減る一方
もう、ベルト含めて
数体しか生き残っていない

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先日、場末の居酒屋に集まり
最後の会合を開いた
数千年、見守ってきた
思い出話に花が咲く
ローマ、中世、産業革命
楽しい時を過ごし
最後に乾杯をする
地球人に!
地球に!
そうして、各々は別れた

我々がいなくなれば
早晩、地球は滅ぶであろう
これまで、幾度救っても
反省もなく改めようともしない

最後の力をふり絞り
衛星軌道上に浮かぶ
地上に煌めく夜景を眺める
頑張ったよな
慈父の表情を浮かべる

さようなら

最後のネクタイは地上へと戻り
干物へと姿を変えた