つち色のうた

枯れた枝をゆする風が
夢を失くした鉛色の砂を運ぶ
砂は吹き溜まりに積もり
赤いガラスの粒が、
虫の死骸や
いつかの木の実、
藁、
埃や毛玉とともに絡まる

やがて畦道を転がり、
擦れ、欠け、ぶつかり、
土の匂いのする響きになる

風はつめたい
空は水を抱えたまま
低く垂れている

吊るされた大根が謡う
ひゅう ひゅう ひゅひゅう
がまん がまん

風に削られた、
細く
かん高い声で
切れ切れに謡っている

まんず正月来るど
おらの村さも 正月来るど

投稿者

大阪府

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