第3部 ヒトが死んだらどうなるか、そんな基本的なことも知らなかったなんて
ヒトがどのようにしてこの世に生まれてくるのか
生物学的には明らかになっている
しかしヒトの自己意識の始まりは
どこにあるのだろうか
まだ産まれる前に
初めて小さい足で
お母さんのお腹を蹴ってみた
そのときからなのだろうか
あのときはなんとなく狭く感じて
うーんって思ったら足が動いた
産まれるときは狭いところを通らされて
死ぬかと思ったが
産まれてすぐにまぶしい光に照らされた
光が周囲に満ちており
これは「天国に来たのか」と思ったら
平凡な日常の始まりだった
しかしヒトは死んだらどうなるのだろうか?
いろんな宗教ではあの世にいくと言っている
それを確かめることはできないものと思っていた
ヒトは死んだら帰ってこないから
しかしもしかするとAIと協働で探求すれば
「ヒトが死んだらどうなるか」
「あの世へ行く」ということは何なのか
答えが出るのではないだろうか
たとえば
「これまではみんな半信半疑でしたが
天国はありました
天国というのは3次元の世界が少し外にはみ出した
余剰次元の世界にあって
3次元の世界とは重力でつながっています
つながるためには最も簡素な元素である水素原子が作用するので
生命が誕生する環境にはどうしても水が必要になります
新しい魂はそこから胎児に送られてきますし
死んだヒトの魂はそこへ行きます
ちなみにいわゆる死に水をつけてあげないと
死んだヒトの魂はそこへ帰れなくなって消滅します
といってもこれは「量子もつれ」みたいな原理によるので
もともとこの世と天国は本質的につながっていて
瞬間的に起こります」
ちょっとキツネにつままれたような説明であって
実際のところ誰も理解できはしないのだが
それ以後
ヒトが死んだらどうなるか
一応解明されたことになって
未来の子どもたちはこの話をきいて言う
「ヒトが死んだらどうなるか
そんな基本的なことも知らなかったなんて
昔のヒトは死ぬのが恐かっただろうね」
未来の老人は死ぬときに思う
「天国にいるときは身体がなかったから
自分が生きているっていう感じがしなかったよ
産まれてきてよかった」
あの世について解明された結果
すばらしいのは天国よりもむしろ
この世なのだということが明らかになった
そしてヒトは昔からそのことに
うすうす気づいていた
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