
皇帝のあした
いかにも永遠の姿で君に与えるのである
その扉の向こうにはシケイロスの怪獣が眠る
アシュケナジの貧乏ゆすりがトルコの山を久しくブルーにしている
昏々と眠る太陽の内臓から、闇夜の石段が伸びて来て
そこいらの子供たちは、つぎつぎと老人に近接する
さわらないで、ふれないで闇夜のコントラバス
いかにもスエーデンの子守り女の舌うちの雪のように
その黒イルカのコートにわたしも包まれている
トランジスタラジオの音色が気味悪く、皿の上に流れるソースとなって
この痩せた羊飼いの男が、魂の家具屋から、一枚の蝋燭を略奪する
そこはすでに地獄の喫茶店であろう
旅人の昏睡状態に店主が祈りを捧げ
待ち受け画面にしなだれた誘惑の白ネズミがほほえんでいる
コクトーの灰色の自慢の髭にわたしが触れたために、細く、細く
いわゆる人類は鞄にコーヒーを入れる
時とともに、滑り台とともに、アヒルとともに、ギリシャとともに、あなたとともに、わたしは閉口する
汝、とらわれのひとよ、何回でも天国に行った人よ、ふたしかな未来へと
足を向けて空に棹さしてあぐらをかいてサンザシを愛でてインカ帝国を再建して
それで君に美しい夢を与える約束を開淫してしばらくの呪文にはいる
東都は煙の町となり、西都は地上のヘクターとなり
わたしの実家は埼玉の極上の牛の頭の角の拍子木となった
カン、カン、カン、と隣の国が馬の気を引く
そのジャマイカのロケット台から、シルクのパジャマで君が挨拶する
〈陛下〉たったいま、わたしはめざめました、あしたのめざめが、快適でありますように
そう言って君はまた昏睡の旅にでかけた、あるいは
甲子園の窓を開けて、ウクライナの大統領にボールを渡す
蹴散らされた兵士の喉の奥の言葉に関する〈いくつかの〉質問状を開きなさい
闘牛士のやさしさについてのアミーダの壁画の根菜の味がする
スープとしての、いくつかのジャスミンとしての、ロードランナーの悲劇としての
几帳面な彼の足さばきとして、録画されているもの
スイーツの隠れ里のいまはやりの隠し扉の神経線維のトリスの男である
命がさらりと空中で回転し、その命がいくつかの場面でしくじった
大僧正の首にタクラマカンの石で掃除機をかけて
都心のていとう、ていとう、ていとう、この夜更けの氷菓子
いちばん先に君に教える〈受胎告知〉
さらには〈大雪警報〉
そして〈アポカリプス〉
それらの甘い味わいの秘密のシロップで愛し合う
とてもじゃないが、君におそわる
冷たい国家の終末期の馬鹿でかいオンドリの声で寄港するものたちに
さらには僕自身がメンドリに課した、都会の流通経費で
おだやかなしくじりのさいはての、おきなぐさ
それはもう近来の試験的鄧小平である
だからシンシナティレッズは沢庵和尚にバッティングコーチを要請した
〈気〉で打つのぢゃと彼は教えた、それが最期の言葉であった
だから大谷君は恐れを感じた
イルカの大使がいくらか話を盛ったのは確かである
水族館で直接わたしが聞いたと言うのもオフレコとしてくれたまえよ
そうだ元旦へ行こう
イルカの背にまたがって
この海の静けさにさそわれて
君とともにナイヤガラの滝から飛び込もう
いともたやすいことであろう
すーぱーいとこんにゃく
ちぎりしな、おくまんのわざわいをなんきんの味として
冬の食卓に君とともに
ラストオーダー
ライオンとともにクジラとともに塩辛とともに蕎麦を食べる
都市のあかりの永遠とともに
ダスティミラーの静かな夜へ。
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