ぼく運動会いややねん(未来編)

散髪屋さん:「もうすぐ運動会やね.楽しみやな?」

小学生:「運動会,あんまり楽しみちゃう.」

散髪屋さん:「えー,そうなん? 運動会,楽しいやんか.」

小学生:「ぼく,ロン毛でパーマかけてるから,走るの早そうに思われるけど,じっさいは走るの遅いねん.」

散髪屋さん:「えっ,そうなん? めっちゃ早そうに見えるけどなー.」

小学生:「学校の友だちから,“おまえ走るの速そうに見えるけど,遅いんやな”ってよう言われんねん.」

小学生:「せやから,ぼく運動会いややねん.走るのが遅い理由はな,実は重力制御モジュールがまだ未調整やからやねん.
     頭のパーマには加速度センサーもついてて,動きを計算してるねん.」

散髪屋さん,少し笑って:「なるほどな…そんな理由やったんか.」

小学生:「友だちは,ぼくが速そうに見えて遅いって言うけど,ほんまはAI制御実験の観察対象として,
     走るスピードも最適化されとるだけやねん.」

小学生,少し寂しそうに:「……せやから,ぼく運動会いやねん.」

それは,まあ,それはしゃあないことやなあ,と
未来人型AIの観察員でもある父は,男の子の髪を切りながらつぶやいた

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