あな

あな

小人の梟が枝
にとまって見つめてる――
透きとおった流れに
太った貝や魚
栄養価の高い水
じゃぼじゃぼ音して
泡も立たずに

光が揺れて
泡が立ち
色めき立った波
前方から襲ってくるのは
朱色に染まった液体の群れ
順調に補給していた
純粋無色栄養体の清流水が
押しもどされ赤く染まった
カテーテルの管を
体からの逆流

耳ふたつ
鼻あなふたつ
口ひとつ
耳鼻口の穴は体内を貫通し
ひとつの肛門
ひとつの外尿道口
外尿道と肛門に通じ
不要物を排泄する
梟の目の穴

あな
あいくるしい穴
くるしい穴
穴場の穴
アナーキストの穴
アリババの穴
過ちの穴
街の穴
血の穴
地の穴
知の穴
痴の穴
地図の穴
乳の流れる穴
猪突猛進の穴
深い穴
細い穴
皮膚の穴

私は穴だらけだ
平常時
穴は皆平穏だ
生きるために平穏だ

緊急時
生かされるためには
穴が開かされる
腕の血管に
首に
腹に
背中に
ところが
私の血管は引っ込み思案
出たがらない穴の管

時には
刺された管に
血が逆流し
眩暈を起こす
命の人工清流が
止められるから

適確で優しいまなざし
で護ってくれる梟の
目と手に感謝する

投稿者

神奈川県

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