『疲労人形と無慈悲な月』

疲れたよ、と言って
遠い遠い遥かなる宙《そら》に溶け込みたい
この疲労はあの宙にしか癒せない
疲労の理由もまたあの罪な川なのだけれど

あなたがいないと
街を歩くのも変に緊張してしまう
自分の利き手も分からなくなる
すすらないで、と蕎麦が云う

街角のBGM に磁場が痺れている
石畳に心を撒きたくなる
雨に肩を預ける
奇跡的な角度で倒れ混む刹那
あの遥かなる月が到着して
修飾語的に電池の切れた人形を抱き止める

……そんな夢を見て
明け方ベランダへ出ると
ナナホシてんとう柄のあの無慈悲な丸が
名残惜しそうに引っ掛かっていた

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