猫と選挙
当世風に
猫のボスを
選挙で決めるそうだ
当世風に
ボスのことを
大臣と呼ぶことにするそうだ
立候補したのは
茶丸とクロとショコラ
コウヤクはどうなっているのか
僕の家のシルリに聞くと
コウヤクとはなんぞやと首を傾げる
コウヤクについて説明すると
ふうん、と窓から外へ出て行った
選挙前日に
シルリが三匹の
急ごしらえのコウヤクを教えてくれた
茶丸「スーパーの総菜係のパートに可愛がられているクロは、総菜に余った魚を独占的に貰い受けているが、町内の猫にその権利を平等に分配すべきであり、ボクならば依怙贔屓なく全ての猫に分配できる」
クロ「高層マンションができたおかげで、我らの空き地の日当たりが著しく阻害された。マンションをどかすよう、人間と交渉しましょう」
ショコラ「我らはパックに入っている、おが屑のような鰹節しか見たことないが、年寄猫の昔話に出てくる、削られていない鰹節とやらを、皆様のお目にかけてみせるです」
選挙当日は
高層マンションの影のおかげで
めっきり淋しくなっていた裏の空き地に
久々に猫の出入りが頻繁であった
小学校で拾ってきた三本の鉛筆を取り合いし
葉っぱに何かを書き付けている
何か、と言ったのは
元来猫は文字を書かない動物だからである
彼らは何かを書き付けた葉っぱを
空き缶入れに放り込む
久々に活気づいた裏の空き地は
早々に日が暮れた
選挙翌日に
シルリに選挙結果を聞いてみると
クロが当選したという
どうやって当選したかと尋ねると
クロの飼い主は小学校の先生であるから
クロはこの界隈で最も読み書きが堪能であり
クロが投票用紙を確認したところ
二百二十二票を取ってクロの圧勝だったそう
この町内に二百匹以上の猫がいるなんて
信じられないし僕は信じない
クロ大臣はコウヤクの実現に向け
早くも計画の一部を発表したという
高層マンションに三重に縄をかけ
十字路の真ん中まで引っ張って行けば
空き地はお日様を取り戻すことができる
五十人くらいの人間で引っ張れば
十字路まで十分もかからないだろう
と、いうことだ
随分、勝手な話だが
人間も勝手なのだから
おあいこだろう
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