標本箱の旅人

銀の額縁に 花の鎖

四角い空に閉じ込められたのは

いつかどこかの
昼下がりの記憶

麦わら帽子を浅くかぶり

丸い眼鏡で明日を覗く

少女の顔をした
名もなき鳥

三つ編みを一房
風に遊ばせて

彼女は花咲く野をゆく

羽ばたくためではなく

一歩ずつ
物語を踏みしめるために

翼は重たげで
けれど心は軽く

インクの匂いのする庭園で

彼女は静かに
旅を続ける

誰にも見つからない
本の隙間

飾られたままの
自由の肖像

投稿者

静岡県

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