逃げる

モニターから
目線をそらすと
 
顔を失くした同僚たちが
早口で交わす会話は切れ間なく膨らみ
曖昧にうなずくうちに
同僚たちの影は伸び
黒く部屋を覆い
私は影を映す壁にされ、
混ざり合った音のざわめきが
耳障りな機械音と軋み響き
私は一歩後ずさる
 
黒い影は机の書類を飲み込み
形を変えながら
課長の方へなだれ込み
 
私は廊下へ押し出される
 
昼の照明は力なく照らし
触れそうな静寂が転がっていた
 
壁にもたれて
深く息を吐く
 
窓から見る花壇は
ひび割れて枯れ果て、
 
死に損なった虫が飛んでいる

投稿者

愛知県

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。