物語

物語

夕刻の中
虚を身体に潤ませ
黙っている
あなたは揺れている。

ようやく寒さが薄れ
苦くなってきた。

虚は、虚のままに
あなたの指先まで満ちてくる
それを隠しもせず
試すように
わらってみせた
あの日の表情。

三月は
あなたの誕生月
いなくなってしまったたしかな姿を
幾度もすくい上げながら
私は実を生きる
生きるしかない
世間のさなかを
虚との狭間を。

人と人は
時に合わせ鏡だ
あなたと合わさったことで
私には何が生まれただろう
何が残ったろう。

日が長くなった。

物語を少し
作ってみたくなった
九段坂を歩いている。
季節を、うしなう。

投稿者

東京都

コメント

  1. 都々逸 日本良いとこ一度はおいで 二十四節気 四季の国   らどみどら

    それにしても 最後の1行、詩人ならでは落としかたで、真面目になれました。

    梵天丸もかくありたい

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