さよならを言えなくて

きょうもさよならを言えなかった
きみの朝顔の背中が遠ざかるのを見ながら
ぼくは半分は安心したんだ
でもぼくたちは柘榴の中のひとつぶひとつぶを
毎日消費している

いつか冷たい手のひらがぼくの頬を包んで
ぬるいキスをするだろう
その時に
きみがブランコに揺られているかわからない
笑顔でソフトクリームを舐めているかもわからない

だから毎日を転校の最後の日にして
卵焼きを半分あげたり
鉛筆を削ってあげたり
逆上がりのお尻を押してあげたりして
そして帰り際にはさよならをいう

西日が薄く射す靄の中にきみが消える前に
きみにだけ聞こえるような
小さい声で呼び止めて

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