野花讃歌(Yaka Sanka)
長歌
春の野に
霞たなびき
風わたり、
人のゆきかふ
道のほとりに
名も知らぬ
小さき花の
咲けるあり。
桜の影に
色をかくして、
誰も見ず、
誰も愛でずに、
ただひとり
朝の光を
受けて立つ。
踏まれつつ
なお香を放ち、
雨に濡れ、
なお色深く、
世の誉れ
求むることなく、
春のしるしを
ここに尽くせり。
反歌
名も知らぬ
野辺の小花の
あはれさよ、
人の過ぎても
春を照らせり。
踏まれども
なお咲き続く
花のあり、
世に知られねど
色は衰へず。
コメント