バスに乗って
バスに乗っているうちに
わたしがバスになって
わたしを乗せて走っている
他に乗客はいないけれど
一番後ろの座席に
行儀良く収まっている
運転手のわたしは
わたしを乗せたわたしを運転しながら
時々故郷の坂道などを思い出す
それでも安全確認を怠ることなく
わたしはとぼとぼと海岸通りを走る
潮風に吹かれてこのままどこに行くのか
わからないけれど
行かなければいけない場所は
確かにある気がする
わたしがわたしであることは
何かのささやかな
贈り物なのだと思う
そしてわたしが
わたしに会えなくなる
そんな日がいつか来る
コメント
この詩の、「わたし」と向き合う「わたし」が、すてきです。
全体的に 好き なんですが、最後の方(わたしがわたしであることは というところから最終行まで)のところが 特に好きです。
わたしという人間は、目的地へ行くために物理的にバスに乗っていながら
もう一方で、その目的地へわたしを運ぶための「バス」でもある
わたしというバスは、ときに生まれ育った町や思い出の場所へと
わたしを連れて行きながら
これから向かう場所、向かうべき場所へと
わたしを誘ってくれているわけですね
だとしたら、このバスがどこへ向かおうとしているのか
どこへたどり着くのか
終点まで乗っていなくちゃ、て気になりますね!
発想がステキで、好きな詩です
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。
私は私と微妙な距離感で向きい、微妙な距離感で私であることから逃げている、そんか気がしています。
@雨音陽炎
雨音陽炎さん、コメントありがとうございます。終点まで私は私であり続けなければならないのだろうな、と思います。私の思いは皮膚に閉じ込められて外に出ていかないように。