つじつま合わせでもかまわないから(改訂版)

ダマすよりダマされる方がマシだと 誰かが云った
自分ほどバカ正直なニンゲンもいないと また違う誰かが云った
バカ正直なニンゲンが バカ正直に人をダマし
ダマしていることにすら気がつかずに
平然とした顔をして こんにちはなんて挨拶を交し合ってる
とんだバカ正直もあるものだと 困惑していると
それがこの世の倣いだと したり顔してまた違う誰かが嘲笑う

     混雑する電車の中 泣き叫ぶ赤ん坊とその母親に
     聞こえるようにあからさま 舌打ちしたことはないか

     買い物しているとき 客がその棚を見たくて後ろにいようと
     構わず淡々と品出ししている店員にイラついたことはないか

     ところかまわずきゃあきゃあ騒ぎまくる女子高生のその口を
     二度と騒げないように縫い閉じてしまいたいと思ったことはないか

     自転車が車道通るのは ぶつかりそうで危ないという割に
     歩行者はいつも置き去りにされてることには誰もあまり気にもしてなかったり

     若い頃の悪事はすべて「ヤンチャ」ってコトバに置き換えて
     偉そうにしているヤツは全員消えろって思ったことはないか

     陽キャだ陰キャだ カーストだ
     一体ここはどこの国だよ? 
     いつからインドになったんですか?

     みんなちがってみんないい、んじゃなかったのか
     コソコソヒソヒソ 寄ると触ると誰かの悪口影口
      あのひとってあのひとってキョーチョーセ―ないよね
      全然空気読まないし てか 読めないのか

     多勢に無勢 大勢vsひとり
     なにをしてもなにを云っても構わない
     そんなターゲットを見つけては みんなしてふくろ叩き

     差別? 偏見? 
     ちがうちがう そうじゃな~い
     歌いながら笑いながら
     こっち来んなあっち行けよと 
     石を投げつける

     親切の押し売りをしたことはないか
     親切の見返りを求めたことはないか

     浮足立ってる人間を 心の底から軽蔑したことはないか
     
     人は外見じゃないなんて 嘘つけよって思わないか
     
     全員死ねばいいのにと 一度でも思ってみたことはないか
     
     自分よりかわいそうな人を探してはいないか
     自分より劣ってそうな人を見て安心したことはないか  
     
     行こうと思えばどこへだって行けたはずなのに
     行けども行けども行き止まりの袋小路だったことはないか
     
     ふいに自分がいま何をしているのか 
     何故ここにいるのかわからなくなって
     呆然と立ち尽くしてしまったことはないか
     
     眠れなくて夜 ひとりで声を放って泣いたことはないか
     誰に届くことのないその声が これでもかというくらいに
     自分の耳にこびりついて離れなくて
     どうにもやり過ごせない夜を明かしたことはないか

ひとはひと 自分は自分
なのに足元は 不安定でおぼつかなくて落っこちてしまいそうで
だからいつだって 誰かと比べたがってばかり

天秤はいつだって 
どちらか一方が少しだけ重い

求めない 求めない 求めたい
心はいつだって ウラオモテ
風向き変わるたびに 
あっちヒラヒラ こっちヒラヒラ
翻ってばかり

生きていてもいいですか?
こんなふうでもいいですか?

生きるに値するだけの理由を
ひとつ わたしにください

つじつまを合わせるための
ただそれだけのための理由を

どうか どうか

ひとつ わたしにも
ください

投稿者

東京都

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