やさしさ

「空の缶」

僕は寝ていた
頭の中は空のビール缶のようだ
ポツンと置いてある
錆びてきている
その隙間から
生かされてるみたいな優しさが
少しずつ溜まっていく
少しだけ
やわらいでいく
台所に立っていた
老いた母のために
温かい料理を
作りに行く
湯気の向こうで
母は
美味しいよ

「雲のまま」

体は軽い
宙に浮く雲のようだ
流される
揺さぶられ
光を失うこともある
それでもモクモクと浮かんでいる
自分では動けないみたいだ
気づくのが遅かった
あの黄金色の時間を
辿るように
空が僕を呼んでいる
幼子の手を引くように
あたたかさの中で
いつか駆けだしたいと
叫んだ

ゆらめいた

「風の中で」

心が軽い
ササっと流れている
ゆらめいた
歩いてみる
もやもやしていた時間が
後押しするように
スタスタと先へ行く

何もなかった

新鮮な風が流れてきた
もう何があるかなんて
どうでもよかった
生きてきた優しさがあった
いろいろな時間を
歩いていきたい

微笑んだ

投稿者

神奈川県

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