雪原の中でつかまえて

空から舞い落ちてくるのは
そのかけらの様な夏の雪
光は途絶えがちになり
募る思いはぐしゃぐしゃになって
いつしか手元に傘はない

そう夏だった、昨日までは
秋はなかった、気づいたら
雪原の中でつかまえて
君の言葉でつかまえて

万華鏡を除き込んだら
その中に何が見える
移ろいゆく時、人の気持ち
あの日散らした目の汗の粒
全てがごちゃ混ぜに合わさって
いつしか目元に氷柱ができて

そう君だった、あの日見たのは
君じゃなかった、私の目には
雪原の中でつかまえて
君の腕(かいな)でつかまえて

馬酔木の雫に酔いどれて
月下の中に君を見て
それは沙雪の煌めきで
君はどこにもいなくって

雪原の中でつかまえて
あなたのことをつかまえて

投稿者

奈良県

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