おしろいばな

夏をかなしむあなたと
駅前通りから歩いて
長い橋の下
河原へ降りて
そうしたら公園でひとやすみ
あなたは暑さで額に汗をかいて
頬が赤くなっていた
黒い髪を分けて汗を拭いてあげた
もどりみちは細道をとおって
ふるい骨董屋で花瓶と平皿を買った

ゆきの電車でも
かえりの電車でも
僕は本を読むふり

ディケンズを読んでいた僕に
あなたは二都物語をくれた

アランの幸福論もくれた

久しぶりにあなたからの手紙を
読み返した
文面はとても端正で簡潔だけど

心のつかえがとれたような
気がした

桜のタバコを吸いながら
送ることのない手紙を書いてみよう
かと思う

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