プラシボとプラトンとプラスチック
あなたが詩人であるならば
あなたの栄養は
ビタミンではなく プラチナである
あなたの肥満は
コレステロールではなく プラズマである
あなたの終局は
ノイローゼではなく プラシボである
あなたの人形は
テディベアではなく プランクトンである
あなたの女性は
マリアではなく プラモデルである
あなたの快楽は
オルガズムではなく プラトンである
あなたの煙草は
ハイライトではなく プラトニックである
あなたの脳内は
イメージではなく プラットホームである
あなたの本質は
アイデンティティではなく プラスチックである
あなたが詩人であるならば
あなたの言葉は
詩ではなく 詩でもなく
詩にもなれず 詩にもならない
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.030: Title by あおやぎ健治]
コメント
あなたの…と続く後半が、すべて「プ」で始まる言葉に、…え? っと思っていたら、最終連目が、
詩ではなく 詩でもなく
詩にもなれず 詩にもならない
意表を突かれながら、でも何だか納得してしまったのです。詩の面白さであり、妙なのでしょう。
いろいろと深い。
プラトニックとプラトンという単語の使い分けが深い。
詩人はいつでも詩人に決まっているんだけど、だからこそなぜ自分が詩人なのかということは時々考える必要はあるなあと感じました。
ではなく、である、のプレイリストが繰り返され詩人ではなく詩人でもなく詩人にもなれず詩人にもならない私のプラグマティックな脳内にプラネタリウムの幻惑が満ちてくるのでした。
not A but Bの構文が心地よく脳に響きますね。一方で、この受け止めやすいこの構文こそが罠でもある気もしてくる。
あなたの幻影は
インスリンではなくプラーナである
詩人として死ぬまでプラプラしてたいなぁ、と思いながら読みました。
脳内再生が気持ちよく中毒性があります。
締めの2行もかっこいい。