消しゴム
砂漠に落ちていた辞書の
色味が好きで
そればかり見ていた
歯車をひとつひとつ
拾い集める
噛み合うことなく
それでも装置だけが
美しく形作られていく
かつて遠泳の授業中に
水平線を見失ったことがある
そのすっとした行方を
画用紙に描く
と、蜻蛉がやってきて
水平線にとまる
この砂漠の固有種だったと
記憶の中で思い出す
本当は何もいらない
すべてを消しゴムで消す
砂漠に落ちていた辞書の
色味が好きで
そればかり見ていた
歯車をひとつひとつ
拾い集める
噛み合うことなく
それでも装置だけが
美しく形作られていく
かつて遠泳の授業中に
水平線を見失ったことがある
そのすっとした行方を
画用紙に描く
と、蜻蛉がやってきて
水平線にとまる
この砂漠の固有種だったと
記憶の中で思い出す
本当は何もいらない
すべてを消しゴムで消す
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コメント
いつもながら、詠む視点には驚かされます。
物事のラベルをそっと外した時に残るもの。
存在・空・美。あちらこちらに在るのですね。
とても良かったです。
解釈が違っていたら、その時はごめんなさい。
@風太郎
風太郎さん、コメントありがとうございます。
物事のラベルをそっと外す、って素敵な考え方ですね。
ラベルをはがす、新たに貼る、貼りかえる、ラベルをただ持つだけでずっと立ち止まっている…
その一瞬一瞬に人の気配があって、季節の訪れがあって。
数々の記憶はあるけれど、それに意味があるのかの虚無感、それを超越した感じが砂漠と重なりました。海原に望む水平線、ここにも超越があります。
読み終えて、しばらく考えた後には、だだっ広い虚無を超越した、清々しさが残りました。
@野鳥倶楽部
野鳥俱楽部さん、コメントありがとうございます。
これまでの人生の振り返り、これからの生き方について考える、そんな地点にいます。
おっしゃるとおり、そこには人である限り避けてとおれない虚しさがあり、多分この虚しさを癒すために魂としての自分を見つめる、というのは誰もが通る道なのかもしれないなあ、という思いと、そんなものにとらわれず「清々しく」生きる、そんな思いがあります。
どんなにしても消えないでいてくれるだろうと思った絵や文字の思い出も、砂消しで擦ったら
薄い紙ごと破れていく、それも通過していくことの一つに過ぎず
その繰り返しで、なくしてしまうこと、の続きもきっとあるのだなと思えました。
@kフウ
kフウさん、コメントありがとうございます。
砂消し、懐かしいなあ。すべて消えるわけではないし、紙は破れるし。
フウさんのコメントで、なくしてしまうことの続き、というのが気になっていて、なくしてしまう、でもそれ終わりではなく続きがある。あるいは、終わりには続きがある、そんな感じ方、素敵だなあと思いました。