たすけて/怪談推敲

陽が落ちる頃
男は帰って来る
薄汚れたジャンパー
すり減った靴
誰もいない部屋
干乾びた布団に
崩れ落ちながら
たすけて と
誰に言うでもなく

曇った窓の側に
ロッキングチェア
生気を失くした目
息子が誰かも忘れて
そのひとは座っていた
キィーキィーと鳴いては
暮らしを追い詰めた

たどり着いた抜け道
最期の扉

陽が落ちる頃
男は帰って来る
誰もいない廃屋に
カタチを亡くしてなお
終ることのない
明日に

たすけて

溢れても

届かない

投稿者

奈良県

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