昼下がりの庭
目の覚めるような
蒲公英色の衣装をまとった僕は
お洒落な男であるが
M嬢は僕に見向きもしないどころか
僕を苦手としている素振り
親友のZに相談すると
「M嬢は働き者だから
素朴な相手が良いのさ」
わかったようなことを言う
その後助言が続くものと
待っていたが
犬小屋の板のささくれを
はがすことに集中し始めた
いつの間にか
現れていたM嬢が
お庭のお花を吟味している
身繕いした僕は
とっておきの恋の歌を披露する
M嬢はさも忙しげに
咲き乱れる花から花へ
わざとこちらを見ぬように
やがて去って行くM嬢を
いつものように
僕は格子の間から見送った
(この間もZは引き続き
板のささくれと格闘している)
僕がブランコにのって
煩悶していると
またM嬢がやって来たが
あとからM嬢とそっくりなのが
三人現れたため
最初に来たのがM嬢なのかも
疑わしくなってきた
M嬢とM嬢の分身のような者らは
お花を愛でることに忙しく
親友のZは
犬小屋の板にかじりつき
僕はブランコをゆらゆら
花々は咲き誇り
やわらかな午後の日差しが
お庭を包み込んでいる
コメント
一見おだやかな「昼下がりの庭」なのですが、M嬢みたいのが、何人も現れるところに、こわい、という気持ちが発生しました。でも、実はそう思わせるそこが、この詩のすごいところだと思います。
@こしごえ
様
コメントありがとうございます!
「僕」はM嬢を見分けられないようです。
人間も、蜜蜂一匹一匹を見分けられないように…。
おっしゃる通り、一見、穏やかな昼間でも、それぞれが生活していると、色々なことが起こりますね。