たんぽぽ

あたしはあの子の持っていた
たんぽぽの綿毛を取り上げてやった

あの子がようやく見つけ
嬉し気に持っていた
たんぽぽの綿毛を取り上げてやった

あの子はひどく傷ついたように
両目を見開いたが
そういう表情をさせるために
たんぽぽの綿毛を取り上げてやったのだ

あたしはちっとも楽しくないが
あの子を悲しませようと
綿毛を一息に吹き飛ばした

旅のはじまり、はじまり

すっかり大人になって
たんぽぽを摘むことを忘れても
いたずらな風に前髪が吹き上がるたび
あの子はあたしを思い出すだろう

投稿者

大阪府

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