星の観測者
昨夜の星の記録中
突風が吹き
星見櫓が崩れた
櫓から投げ出され
僕は掠り傷で済んだが
望遠鏡は壊れ
毎夜重ねた記録用紙は
夜空へと吹き飛ばされた
目映い陽光を浴びながら
櫓の残骸に腰掛け
見上げる青い空には
積雲の千切れ雲が
のんびりと流れているが
上空では今も尚
記録用紙をさらった風が
びょうびょうと
吹き荒れているのだ
雲のさらに上は
ひたすら澄み渡り
星降る夜と
同じ空とも思われず
見慣れぬ思いで眺めていれば
果てのない蒼穹が
僕の目の前まで迫り
いつしか
己と空の境が
わからなくなり
いつになく
この空が親しく思われ
はらはらと涙がこぼれた
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