成り立ち

わたしには尾ひれがない
だから泳げない
空気の中で生きていく
そう決めたのに
過呼吸の夜に
わたしが溺れたのは
ほんの隙間だった

手の手つきが常態化して
迷信のような作り事を
鉛筆で引いた環状線に
並べていく
用水路で捕まえた光を
蛍だと思い飼育するうちに
柔らかなその先端で
指を切ってしまった

掌は父が作ってくれました
名を授けてくれたのは母でした
その時わたしは両親から
夢のようなものを
確かにもらったのだった

触れると透明な質感がする
成り立ちの箪笥の中には
泳げないのだから、と
脱いだ背びれが
まだ仕舞ってある

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