嘘に関する二篇

① 〜ライアーもしくは虚構マニアへ〜

嘘はたーくさんつきなさい
人はたーくさん傷つけなさい

嘘はつかれるためにある
人は傷つけられるためにある

それでも私は宣言する
それでも私は宣言する

嘘っぱちのあなたに
嘘っぱちでしかない私自身に

② 〜A.K.A. ネオ・オネストマン〜

嘘は泥棒のはじまり
泥棒は嘘のはじまり

恥ずかしながら
愛してると言ってあなたを盗んだことがある
気づけないながら あなたも
四角い言葉を盗んではまるぅく世を憂いたりしている

飲み込んだ嘘がスパークリングワインよりも心地よく
胃中を阿鼻叫喚するとき
私の人生ドラマはドグラ・マグラしてゆく

なにもかもが嘘かもしれない
なにもかもが本当かもしれない
それらしき物差しはあっても
本当のことは誰も教えてはくれない
それを決めるのは誰か

本当のことなんか耐えられないくせに
そもそものはじまりが真っ赤な嘘だと知ったら
泣いて喜ぶだろう きっと

嘘は泥棒のはじまり
泥棒は嘘のはじまり

正直申し上げて私嘘は申しません

投稿者

千葉県

コメント

  1. 嘘に揺蕩って行きましょう。いつまでも。どこまでも。

  2. 「ドグラ・マグラする」ってすごいな。実際、自分が見ている世界が真実であるとも限らず、この嘘に塗れた詩こそ真実なのかもしれないと思うけれど、これはこれで嘘なんだろうし。

  3. babel-kさん、ありがとうございます。
    そうですね、揺蕩って行きたいものですね。

  4. トノモトショウさん、ありがとうございます。
    コメント読んでニヤついてしまった。やっぱり嘘つきは嘘をつくってことか…

  5. 実社会で嘘をつきまくると、大変なことになります。なので、私は、もっぱら詩の中で嘘ついています。どうやってバレないように嘘をつくか…? 詩人としての腕の見せどころであります。

  6. 長谷川さん、ありがとうございます。
    そうですよね、詩の中では自由に嘘がつけますね。
    嘘を心から憎む自分がいる一方で、いろんな意味で嘘を愛する自分もいたりします。

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