わたくし的歩き身体改造論
わたくしは私であり僕であり あたしであり俺であり あたいでありおいらでもあるが ひげの吾輩ほど偉くもなく猫ほどに賢くもない わたくしの身体の査定はほぼポンコツで古古古米 足はガクガク心臓はピクピク ハートはパクパクヒヤヒヤ これまで暢気にとんとん拍子で 坂を下ってきたのはどんな坂 この青息吐息で四苦八苦のくたびれた身体を 今更ながら心機一転の補修でなんとか 南無三宝おんあぼきゃ曼斗羅 虫の神さま草の神さま八百万の 見えないちっちゃな神さまとも談合し 弱った臓腑には陀羅尼助丸やら正露丸やらをぶっかまし 冷水摩擦で皮膚をしばいて靴ひもしめて えっこらやっこら息継いで坂をのぼる朝と夕べ 公園の鉄棒は腕は伸びきりぶら下がるだけ 地面と足とのこのブランクが 伸ばしてみても縮めてみても 運動不足の怠惰が分銅に掛かり 針は動かず砂塵のひとつも舞わず 汗はぽたぽた涙もじわじわ 苦あれば楽ありとはほんまやろか 楽すれば転がるばかりの老いの坂あり そればかりは実感痛感遺憾震撼 血中酸素の濃度はパスかな 超過敏に反応する昨今のわたくし 黄砂も段差も発作も避けて 深夜の悪夢で深呼吸すれば 血管は膨らみ前頭葉も涼風吹いて 高鳴る鼓動で幻惑サーフィン ゴリラガラスの鏡よ鏡さん 光の彼女は遠距離交信 語りかけたりキスしてみたり 指恋タッチで想いを発信するも イエスもノーも以心伝心異心電信 送信不信ただ有明の月が 消えるでもなく冴えるでもなく まずは息ととのえて気をしずめて いまはこの坂道をのぼること 坂の上には何かあっぺか 錆びた蛇口の水くらいあっかも 一滴の水でも花は咲くかも 歩き疲れて縮んだ脚でも 水を得た魚ぴんと張るかも 無理せずスローがマイブームのわたくし 超スローな負荷が筋肉を強くするとか ゆっくりアップでゆっくりダウン ゆっくり折ってゆっくり伸ばす ゆっくり吸ってゆっくり吐いて 暦も時計もスローモーで止めて 昨日も今日も歩くあるく なんだ坂こんな坂おおさかの坂 おらの坂おいらの坂わたくしの坂を どうしようもないわたしが歩いている
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