紙占い

雷鳴が聞こえて
寂しい感じがした
薬を飲み忘れてしまい
そのことも含めて
あの椅子に座っている人が
被告人さんなのだと思った
風が吹くと嫌なので
雨戸の建てつけの話も少しした
被告人さんは海に釣り糸を垂れて
雷鳴がすると
やはり寂しいのだろうか
今のはどこ、みたいな表情で
椅子の位置を直したりする
裁判長と名札の付いた人に
質問するよう促されるけれど
わたしは何を聞くべきか分からずに
釣った魚の色はどうですか、とか
冷えた身体はいつまで続きますか
などと聞くしかなくて
いつまでも埒があかない
被告人さんは雷鳴の度に
今のはどこ、と言いながら
釣り糸の位置も変える
おそらく本当は
釣りなんか好きではないのだ
時間だけがゆっくりと過ぎて
裁判長の人は飽きたかのように
法律書を破いて紙占いをしている
どうしてあんなにも
愛してやまなかったのだろう
人も物も
被告人さん
と声をかける
はい、と
椅子に座ったわたしが
小さく返事をする

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