祠 (ほこら)

路地裏の突き当たりの
椋木の陰に
その祠はある

観音開きの扉は
風が通る度に
バタン、バタンと
音を立てている

扉の奥には
ピエロ人形が
住み着いている

雀たちはこの人形を
カミサマと呼んでいるが
朽ちかけた祠の屋根に
平気で遊んでいる様子より
信仰心は見受けられない

ところで
あの人形は
いつから祠にいるのだろう

「あんたが押し込めたのさ」

僕はそんなことはしない

「じゃあずっと前からいるのさ」

そんなことが有り得るだろうか

暗がりの扉の奥で
ピエロ人形が
僅かに振動する程度に
運命の糸を引いていることを
僕は知っている

急激に引くと
余波が思わぬ惨事を招くため
ほんの微かに
糸を震わすのだ

今も祠の扉は
開いたり閉じたり
バタン、バタンと
鳴り止まぬ

投稿者

大阪府

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